試演会@ArtTheater dB Kobe

2017年10月26日(木)に「どこかでうまれて、どこかで暮らす。」通称「どこうま」は来月の11月26日の香港公演(1st HOT POT East Asia Dance Platfoerm at Hong Kong /Kwai Tsing Theatre)に向けた試演会をArtTheater dB Kobeにて行った。50名以上のお客様に足を運んで頂いたこと、また遠方から気にかけてくださっていた方の思いや、ご支援・応援いただいた気持ちは本当に嬉しく、4年前にArtTheater dB Kobeではじめてこの作品を発表した時のことを思い出した。そのとき、自作品を楽しみに観に来てくれたのは当時バイトしていたコンビニの同僚1人だった。けれど、人生で一番緊張した時間だったことを今でもよく覚えている。
私は下手の舞台袖にいて、ダンサーの皆に手を降り続けていた。彼らが集中しすぎないように、そして同時に遠くを見る感覚を持ち続けるために。なにより、リラックスしてほしかった。そんな姿を見た舞台監督さんは「何してるの?」ってほんとに謎そうに私にきいた。かなり変な動きだったと思うので、今の自分だったら、舞台袖の自分の動きを録画しようという考えも浮かぶけど、当時の私にはそんな余裕など無く、とにかく必死だった。

必死なのは5年たった今も変わらない。
試演会までの道のりは長いようであっという間だった。

今年の3月末だっただろうか、5年前から共に作品をつくってきたダンサーの中間から電話がかかってきた。そこで私は彼女の今の選択をきくことになったのだけど、正直「困ったな」という思いと、「よし、リアルに不在の身体が生まれた」とやる気にも似たよくわからないものが生まれた。彼女の今の選択を聞いても腹が立たなかったし、自分もダンスを踊る身、作る身として彼女のように若かったら同じ選択をするだろうなとも思ったから。私は彼女がいなくても作品をしっかり上演することを自分に誓った。そして中間が戻ってきても成立するように新しいダンサーを探して再構築することにした。

4月末に神戸へ。新しいダンサーを探すため、そして5年前から参加してくれている重里、田添、中間に会うために(彼らは皆関西在住)。私は普段東京で暮らしている。移動が多いから、実際にはあまり東京に居る事ができないのだけど、ここ最近は量より質といった感じで「東京で暮らしている」とやっと言えるようになった。神戸滞在中に私は二人のダンサー 遠藤僚之介(大阪)、佐藤有華(宮城)と出逢うことができた。そして、彼らと共に新しい「どこうま」をはじめることにした。

そんなこんなでクリエーションははじまり、5月〜今まで毎月半分以上は神戸/新長田に滞在し制作を続けてきた。それには多くの人の支えや協力なしでは到底続けられないことで、感謝してもしきれない。ダンサーも仕事しながらの生活で大変な中、時間をつくりそれぞれが暮らす場所から神戸へ通ってくれている。そういう事実を忘れないでいたいなといつも思う。作品を作れる事、継続できること、踊ってくれる素敵なダンサーがそばに居る事は奇跡のようなものだと思う。だけど、奇跡のような現実をしっかり受けとめて、次へ繋げる。

試演会ではじめて客席から作品を見た。
下手の舞台袖からではなく、今回は客席からダンサーに手を振りたい気持ちだった。でもそこには私の手の振りなど必要ない田添と重里がいて、二人が作品の中に自分たちの居場所を見つけてしっかり生きていてくれた。嬉しかった。
新しく加わった遠藤と佐藤もはじめての「どこうま時間」を真剣に感じて踊ってくれているように感じた。もしかしたら彼らには私の手の振りが必要だったかもしれない。でも私はそのとき、二人の為に手を振る事が出来なかったというか、その選択をしなかった。そこかもしれないな、と思う。私はもっとがんがん二人に対して手を振らなくてはいけない。振ることにしようと思う。

反省点や改善点は数えたらきりがないけど、舞台の上には新しい世界が広がっていたように思う。その世界を感じながら、作品にとって今何が必要で、何が不必要なのかを考えた。みせること、みられることの重要性もとても感じた。このような機会を持つ事ができて、本当に嬉しく思う。
来てくださった方、気にかけてくださっていた方、ご協力頂いた全ての方、そしてダンサーに感謝でしかない。

頂いた意見・感想を大切に咀嚼しながら、あと一ヶ月作品と共に新長田/神戸で暮らす。

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